鹿児島県奄美群島内外の関係機関3者で構成する「奄美黒糖焼酎海外販路拡大ワーキンググループ(WG)」は21日、2022年度の初会合をオンラインで開いた。21年度は米国を中心に各種プロモーションを積極展開した一方、現地調査では本格焼酎自体の知名度が低い現状も明らかになった。22年度も現地、オンライン両面で黒糖焼酎の魅力を発信し、知名度と輸出販売実績の向上を目指す。 同WGは、奄美黒糖焼酎の海外認知度向上や蔵元の人材育成・確保などを目標に掲げ、21年8月に発足。日本貿易振興機構(ジェトロ)鹿児島貿易情報センターと県酒造組合奄美支部、奄美群島広域事務組合で構成し、現在、群島内の蔵元9社が参加している。 21日の会合はテレビ会議システムを使い、関係各所から10人余りが参加。各蔵元の海外輸出状況などの情報を共有した後、同WGの取り組みについて、21年度の実績と22年度の計画などを確認した。 21年度は、海外販路拡大へ向けた米国酒類市場調査を行い、プロモーション活動として▽ロサンゼルス(LA)の焼酎・泡盛イベントで黒糖焼酎ブースを設け、中継映像による「バーチャル蔵視察」実施▽LAサンプル常設展への出品-などに取り組んだ。 米国酒類市場調査の結果について、ジェトロ担当者は「本格焼酎(米・麦・芋・黒糖)の輸出販売先は主に日系店舗で、現地の知名度は都市部で1~2割、地方ではほぼ無名」と説明。販売促進施策として、分かりやすいボトル・デザインや魅力を伝えるソムリエの育成、試飲・講習会の開催、現地メディアを活用した情報発信などを挙げた。 22年度は▽海外バイヤー向けオンライン商談会とバーチャル蔵視察▽現地有力飲食店でプロモーション▽海外バイヤー招聘(しょうへい)-などを計画、検討。黒糖焼酎を対象とした海外メディア・ツアーの23年度実施(未定)に向けた準備を進める。 会合に参加した各蔵元関係者は、米国における本格焼酎の認知度不足について意見交換。「『黒糖焼酎はこのボトル』と印象付ける統一ラベルが必要ではないか」という提案が上がった一方で「商品のバリエーションもPRしたい。WGで制作した海外向けロゴを使い、地道に周知を続けるべき」との声もあった。